2017/09/12

ノイエ・ピナコテークで19世紀の絵画史を見よう



Ciao!

今回はノイエ・ピナコテークの訪問記。前回の書いたアルテ・ピナコテークから広場と道を挟んだちょうど向かいにある美術館だよ。

アルテ・ピナコテークでは中世から18世紀までの絵画を扱っていたけど、ここノイエ・ピナコテークでは18世紀半ばから20世紀半ばまでの絵画を展示しているよ。

そういう意味では、ここもシュテーデル美術館と同じ比重で、かなりのスペースを18~19世紀絵画にかけてるってわけだね。

しかもこっちは、フロア単位じゃなくて美術館まるまる一棟っていう規模の大きさ。僕らの時代でもあるルネサンスってってなんか虐げられてない?

まあ、シュテーデルの時にも書いたと思うけど、18世紀半ばから19世紀の絵画界は、いろんな主義主張をもったグループが混在していたから、全部見せようと思ったら場所を取っちゃうのは仕方ないんだけどさ。

そんなにぎやかでちょっとややこしい19世紀前後の絵画をまとめて楽しめるようになっているのがこの、ノイエ・ピナコテークなんだ。

そうそう、20世紀半ば以降の作品は、近くの現代絵画館(Pinakothek der Moderne)とブランドホルスト博物館(Museum Brandhorst)に展示されているから、興味のある人は、こちらも行ってみてね。(これら4つの絵画館・博物館の共通チケットもあるよ)


アクセス
ミュンヘン中央駅からバス100番または150番で10分ほど。
ノイエ・ピナコテーク公式サイト
現代絵画館公式サイト
ブランドホルスト博物館サイト



さて、さっきも言った通り、ノイエ・ピナコテークは一回りするだけで18世紀半ばから20世紀半ばの絵画の流れがわかる美術館なんだ。

最初の数室は古き良き宮廷の香りを忍ばせる絵画の部屋で、ゴヤやトーマス・ローレンスなどの絵があるよ。

トーマス・ローレンス、ジョン・タボットの息子たち
写真撮ってなくて、美術館の公式サイトからお借りしました

それに続くのが、ドイツロマン派の作品群。

ルネサンスに逆戻りする感覚を味わえるナザレ派の作品もあるよ。

フレデリック・オーバーベック、イタリアとドイツ

そして、ちょっとした変わり種としてギリシャ景勝地の絵を壁画に残したカール・ロットマンの部屋。


どの場所も、ギリシャ神話やヨーロッパの重要な故事と関連のある場所で、例えば下はマラトン。

カール・ロットマン、マラトン
この荒野を42.195km走りきるのはかなりきつそう。

この辺りまでは温故知新な雰囲気が強いね。

そこから少し進むと、ビーダーマイヤーの部屋。ビーダーマイヤーというのは19世紀のドイツ語圏で興った潮流で、身近なものに目を向けているのが特徴で、文学でいえば小市民的題材を、絵画では市民の生活をいきいきととらえた風俗画が中心なんだ。

ここには僕の大好きなシュピッツヴェークさんも含まれるよ。

カール・シュピッツヴェーク、貧乏詩人

さて、身近なものを主題にしたビーダーマイヤーの世界を堪能した後は、ゴリゴリのアカデミック美術の大作が登場。

カール・テオドール・フォン・ピロティ
ゲルマニクスの凱旋式でのトゥスネルダ
大きすぎて綺麗に写真に収まらず、公式サイトからお借りしました
アカデミック美術というのはざっくり言うと、現代の美大的存在のアカデミーでガッツリと絵の理論を学んだ人が描いた作品なんだけど、写実性の追求と様式美にとらわれすぎちゃった結果、一周まわって非現実的な雰囲気を帯びてきてたのが、この時代のアカデミック美術の特徴さ。

当時のアカデミーではルネサンス以来の技法を使った歴史画が最高の絵の描き方だって教えてたから、アカデミック美術はもちろん歴史画推し。身近なものを主題にしたビーダーマイヤーと比較すると、そのギャップが激しいね!

上の作品「ゲルマニクスの凱旋式でのトゥスネルダ」は、忠実なデッサンに基づく写実的な人物と小道具、絵の中に空間がある様に錯覚するほどの奥行き感は本当にリアルできれいなんだけど、ちょっとやりすぎ感も否めないよね。

しかも490×710cmという超ビックサイズだから、迫力がすごい。がっちりした描き方も相まって、圧迫感すら感じる作品。

ここで胸やけを起こしそうになっても大丈夫!ここから先は比較的マイルドな絵が待ってるよ。


ヴィルヘルム・トリュープナー、墓のキリスト

↑こういう構図、ミラノのブレラ美術館にもあるよね。
死せるキリスト

印象派の時代もここから。印象派のおなじみの顔、ルノワールさん、マネさん(厳密には印象派じゃないけどね)、セザンヌさんなど。


ルノワール、モンマルトルの庭と建設中のサクレ・クール寺院
久ぶりに見た女性以外の題材の絵だったよ。


エドゥアール・マネ、スタジオボートのマネ。
先輩のドービニーに憧れてボートをスタジオにしてたんだって。


ポール・セザンヌ、鉄道の切通し
後ろに見える山は、セント・ヴィクトワール山なのかな?

新印象派からはシニャックさん。

ポール・シニャック、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂

ポスト印象派からはゴッホ&ゴーギャンのコンビ

フィンセント・ファン・ゴッホ、ひまわり
写真にすると見えない絵の具のごつごつを
ぜひ本物で楽しんでね

ポール、ゴーギャン、テ・タマリ・ノ・アトゥア(神の子)
この額縁はこの絵のためにある気がする

そして、最後は象徴主義の神秘的な雰囲気で幕を閉じるのがノイエ・ピナコテークの絵画巡りなのでした。


フランツ・フォン・シュトゥック、罪
「抽象画の父」カンディンスキーさんの先生

かなりかいつまんでしまったけど、18~19世紀の絵画のグループの印象派掴んでもらえたかな?

こんなブログで読むよりも、現地に行ったほうが100倍わかりやすいんだけどね。それでは今回は、ここまで!
Ciao!

twitter:らふぁえろ@raphael_act

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